子供の描画と色彩


☆描画の発達☆

0歳〜1歳
三ヶ月の赤ちゃんは、目の前にクレヨンがあっても、たとえ差し出されても描くことは出来ない。五ヶ月になるまでクレヨンを握ることは出来ない。六ヶ月〜七ヶ月では、手から手にもち替えられる。しかし、手から口にもっていく。
1歳〜2歳
なぐり書きのはじめは、1才半ごろ。ジグザグか雑な水平線がたいてい描かれる。
2歳〜3歳
このころになると、なぐり書き以外の線や形があらわれる。三歳ごろまでには、らせんやグルグルまた、円を描くようになる。
3歳〜4歳
絵の内容か表象的になる。円に線を生したものが人物のシンボルになる。
4歳〜7歳
絵を描く道具が使いこなせるようになると、子供が知っているものを表現するようになる。家族を描くときは主観的に描かれる。感情が表現される。次の段階では、現実に自分の目に見えるように絵を描こうとする。実際の4歳〜7と同じようなバランスで頭部が目立つことはなくなる。
7歳〜
環境による影響が絵に反映するようになる。青年期に近づくと批判精神が育つために、自己表現のための他の形式に取って代わられる。視覚アートにあまり興味がなくなる。
9歳〜10歳
横顔が描くことが出来る。
〜12歳
 



☆色彩☆

色の三属性
色相 ピンクなどといった色合いのこと。
明度 白に近づくほど明度が高く、黒っぽくなるほど明度が低くなるといった明るさの度合い。
彩度 色のあざやかさの度合いことで、色の強弱を表す。もっとも、強い色は純色。

色とは、以上の三つの属性の相乗効果による複合的な知覚効果のこと。
 

無彩色

白、グレー

有彩色

黄色などetc (無彩色は、彩度、明度がない。)

暖色

黄色
寒色
中間色



☆子供の色の好みと使用数☆

 赤ちゃんは、いつごろから色の違いがわかるのだろうか?
生後30日の乳児の視感度曲線は大人とよく似ている。赤ちゃんの色覚は私たちが創造しているよりも発達をしていると思われる。しかし、色彩に対しての表現方法や興味の示し方が大人とは違っているために、色彩に対する反応が大人と赤ちゃんとではちがっている。
 赤ちゃんは、際立つ色に関心を強く示す。例えば、ストライプの赤と緑の模様が赤とオレンジの模様よりも注目する。また、赤とオレンジの模様については、赤と同系色の模様よりは注目を集めるとされている。(Trincker/1955の研究)したがって、赤ちゃんは色そのものに対してよりも色の対比に興味を示す。
 子供もやがて、色の意味を理解するようになると色彩へと関心が移行する。2歳ごろになるとの色名がわかる。3歳ごろは、色と気分の関係を把握し4、5歳では、色の反応がもっとも顕著になる。子供の感情を色彩から理解するためには、子供が色彩象徴的に使用できる様になってからという事になる。
 子供の心理と色彩の関係が密接にかかわっているという研究が、Alschuler,RとHattwick,L(1947)によってされている。それによると、を強調するのは強い感情欲求があり、を強調するのは、統制的欲求が関連しているらしい。また推理や情緒的統制が出来るようになるとよりを好む傾向になると主張した。
 子供の色の好悪は精神発達とパーソナリティーと関係が深い。生後3ヶ月の赤ちゃんの色に対する注目率は違いがみられないとFantaz,R,L/(1963)報告したことに対して、同じ年齢でも色によって注目率に変化あるtaples,R(1932),Valentaine,CW(1962)と報告した。
 赤ちゃんは、刺激の強い色に関心を示すのは、好奇心と美的な探究心が強いためである。どの色に強く関心を示すかということはさておき、ひとついえる事として赤ちゃんは、無彩色よりは有彩色により関心を示すということである。色みがあまりない色やグレーに関心を持つ子供がいるとすれば。心身の異常をうたがってみる必要がある。彩度が高い色を好む傾向は、成長するにつれ減少傾向にある。明るく淡い色が小学6年生ぐらいになると好きになる。
 また、幼児は系統から系統の色へ好みが変化する。通常、子供は好きな色が何かあり。使用する色が安定している。しかしながら、何色かに固執しているような場合は、柔軟性にかけている。また、いつも変わるようならば、衝動的といえるとK,W,&Heiss,R(1963)は述べている。
 子供は、色いろいろな色をしようして自分の心を知ってほしくてサインを送ってくるが、私たちが正しく理解してあげるためには、色彩の象徴性に関する色彩心理学的な知識だけでは不十分である。子供と大人では、色彩の意味の理解は異なるからである。私たちは、知識や経験だけにとらわれ過信せずに、子供の色によるメッセージをよく聴くことが大切である。

 また、色の使用数と性差についてですが、一枚の用紙に使用する色の数は、色彩に対しての関心の度合いによる。女の子のほうが男の子よりも多色使いである。
このことは、成人においても同じである。一枚の用紙に使用されている色数は、幼児(女)の平均は、8,4色、幼児(男)は、6,3色である。小学生(女)は、10,4色、小学生(男)は、8,2色である。
 また、女の子が性差においてきわめて黒の使用が目立つのは外国のほうが多い。なぜなら、髪の毛や瞳の色が日本の事情とちがうためである。女の子は、幼児期のころに人間を描くことが多いために、日本は男女児ともに黒の使用が多いので性差の差があまりない。
 色の使用としては、原色は男性画と幼児が多く使用されている。特に原色は、黄色で、無彩色は灰色が多く使用される。中間色の使用はあまりない。また、幼児と女性画は中間色の使用が多く、黄緑ピンク水色の使用が目立ち、明度が高い色の使用が多い。男性画は幼児より寒色系の使用が多く、女性画とは反対に低い明度の色が多く使用される傾向にある。また、幼児と女性画は暖色が多い。
 また、高明度色と中間色が好まれ、近似配色が多く見られる。
男性画は、特定の色を多く使用するのに対して、女性画は、多色使いである。女性画は、マリー・ローランサン(1883〜1956)にこの傾向が見られる。白をふくむピンクや緑、グレーなどが使用されパステル調の色彩で描かれている。男性画は、シャガール、日本では原色と無彩色の明快な岡本太郎がわかりやすい。

 

☆一般的な色の使われ方☆

は、 りんご、さくらんぼ、イチゴ、煙突、髪、唇、太陽
は、 セーター、オレンジ(果実)
は、 花、太陽
は、 衣服、屋根、草、木
は、 空、衣服、カーテン、目
は、 衣服(女性もの)
は、 煙、輪郭、髪、靴、ベルト、ドア
は、 髪、衣服、目、木の幹、枝、壁
白は、 塀、雲
ピンクは、 リボン、衣服(女児の衣服)


☆主な色の解釈☆

は、 情熱的、衝動性と自発性の表れ
は、 共感と友好、依存への抵抗
は、 自発性の象徴、自己破壊。両面性を持つ色、知性、直感、忠実、裏切り、嫉妬、野望、秘密、不信
は、 不安からの脱出、統制された行動、心配のない状態への回帰
は、 意識的な情緒統制力を持つ内省的な人、真実、不変、知性、平和
は、 権力志向
は、 抑制、抑圧、退行、権力の象徴
は、 抑制、抑圧、退行、食欲、物的、愛情欲求
白は、 反社会的態度と超越、素朴、完全、純粋
ピンクは、 幸福、愛情


☆色の配色☆

は、 父への求愛、甘え、依存
は、 母への求愛、母の愛に対して不満
は、 環境の中での厳格さなど象徴
は、 嫉妬と闘争の象徴、競争心、カイン・コンプレックス
は、 積極性の表れ
は、 性的な関心、子供の性的な正常発達。両親への愛情欲求
は、 心配、心労、葛藤の象徴
は、 成長過渡期に使用される色
は、 悲しみ、バランスをとろうとしている色
は、 情緒不安定
は、 内向現象


☆象徴の解釈 ☆

りんごは、 愛、喜び、知識、知恵、豊穣、歎きや死。慈しんでほしいときの欲求
鳥は、 超越、あらゆる行き詰まりの状態からの開放。よりすぐれた発達段階への移行
猫は、 欲望、開放、秘密。子供のペットをあらわすこともある。愛情欲求を表すこともある
雲は、 色により違う。白は、精神性、純粋、黒は、恥辱、抑うつ、悲観
犬は、 忠実、用心、崇高、墜落、卑小、狂暴
火は、 生命の復活、変容、浄化、情熱、受胎、力、防衛、保護。子供にとって、通常火は破壊的、敵意。感情
魚は、 男根のシンボル、生産、出産
馬は、 生と死、動物性、ダイナミックな力、高貴、知性
月は、 太陽と反対の性
山は、 恒常、永遠、堅実、平静
人は、 身体、情緒的に今どう感じているのか?何になりたいのか?対人関係の程度、重要な人物
海と水は、 原始の水、生と死、復活
木は、 心理的な場面全体の無意識表現、発達、性的水準、現実との接触、個人のバランス感覚
家は、 子供の家族生活、保護の程度、包容、自我構造の性質、現実接触の程度、パーソナリティーのかたさ
雨は、 受胎と神聖
太陽は、 男性的な力、治癒、復活、純粋、知恵の源
お父さんは、 太陽、ひまわり、大きい山、富士山型、鋭角な山、なだらかな山、煙突、灯台、棒、ピストル、ライオン、スネーク、鷹
お母さんは、 海、大地、丘、島、草、斜線の野原、花、乗り物、電車、平屋、ビル、巣、卵、箱、バック、洞窟、キリン、増、熊、パンダ、くじら。山は、柔らかな曲線のもの、円形の者、連なった山、雲と山
自分は、 木、きりかぶ、芽、星、ヒトデ、てるてるぼうず、雪ダルマ、宇宙人、仮面、ふくろう、小動物、昆虫、ロボット

■参考文献
Alschlur R&Hattwick Paainting and Personality Univ of Chicago
臨床描画法研究 3 描画を読むための背景理論 1991金剛出版
色を心で視る 千々岩英彰 1984 福村出版

☆子供の色彩心理☆
色彩の主な生理的働き〜

 循環器系に働く、血流がよくなる、副交感神経に作用。
 消化器系、脾臓などに働く。
 新陳代謝促進、自律神経に作用、食欲増進、消化器系に働き、便通よい。
 脳下垂体、肝臓、血圧下げる、リラックス。
 血流をよくする、交感神経をうながし、リラックス効果がある。
 昔は、薬効色として重んじられた。免疫機能に働く。
 権力の象徴、こころの不安やストレスを表現、また逆に自分を守る色。
 庇護するものの象徴、安定感を与える。
白 視神経に作用して、筋肉緊張を起こすこともある。呼吸器系に作用。
ピンク 女性ホルモンの分泌、新陳代謝促進。

※ 色の感情効果は、見る人の育ってきた環境やそのときの感情により変化するために個人差がある。しかし、生理的な感じ方は、以下のようなことに対して人はだいたい同じように感じます。暖かさ、冷たさ、興奮感、沈静感、重量感、軽量感、派手さ、地味さ、柔らかさ、硬さなど。

☆ 色彩の主なイメージ ☆

  情熱、愛、怒り、攻撃性
  容器、喜び、依存。家庭
  希望、明朗、個人主義、知性
  自然、若さ、安らぎ、バランス
  気品、平成、悲しみ、冷静、平等
  優雅、嫉妬、奉仕、神秘
  威厳、恐怖、絶望、葛藤
  大地、安心感、落ち着き
白  純潔、永遠、正義、浄化
ピンク やすらぎ、幸福、歓び

☆ 色彩からの連想 ☆

 日の丸、ポスト、りんご
 オレンジ、太陽
 レモン、月、イチョウ
 山、植物、信号、エメラルド
 海、空、トルコ石、水
 スミレ、あやめ。ラベンダー
 髪の毛、喪服、カラス
 樹木、土
白 ウエディングドレス、看護婦、雪
ピンク 桜、桃、フラミンゴ

※ 色によるイメージなどは、民族、宗教や世代、また、個人差や性差によっても変わります。上記に述べた項目いずれについても、絶対的なものではありません。一般的に認知されていることですので、その妥当性、効果、作用、他について異なることもあります。

参考文献: Alschlur R&Hattwick Paainting & Personality Univ of Chicago
臨床描画法研究 3 描画を読むための背景理論 1991金剛出版
色を心で視る 千々岩英彰 1984 福村出版


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